企業理念
About us
1974年、J産業の緑化部門として誕生した当社のグリーン事業は、ウレタンを利用したポット(コンテナ)の研究・販売から始まり、一貫して植物の苗・苗木生産を中心とした、植物の根と地上部の微気象の研究を続けてきました。
当時は水俣から始まった(社会問題化した)化学工場の公害問題を解決して、環境(主として都会地の空気汚染・ヒートアイランド・河川の汚染)を科学技術で解決しながら、自然環境を人間の住みやすい世界に戻そうという強い輿論がありました。
公害問題はそれから20年掛けて科学技術的にはほぼ解決したという話を聞いています。
環境問題は、地球規模的には土壌の流亡が問題となり、農耕地が将来的に不足し、食糧生産が不安定化する、と指摘されていましたが未だに解決の目処は立っていません。
食糧生産に適した耕地(肥沃な土壌+適度な気象)は限られるとされ、増やすことは難しい、と言われています。
地球規模の気象・土壌環境を守る第一歩は「森林」の保護・拡大です。森林の減少をくいとめることと、森林を増やすこと(木を植える)をすぐ始めようという雰囲気がありました。
私たちは木を植えるための技術・資材の開発からスタートしました。微気象の研究から生まれたツリーシェルターは現在、我が国の森作り・林業にとって、なくてはならない苗木保護具として広く使われています。ポット(コンテナ)の研究は、樹木の苗に留まらず、野菜苗・果実苗生産技術として発展してきています。
一方、コンテナ内での根の動きを中心とした研究は、植物の根域には必ずしも土壌はいらないのではないか、というコペルニクス的発想の転換に至りました。植物の地上部・地下部を合わせた本体の歴史を改めて見直してみると、植物とは地球上の炭素循環における根幹となる生物であり、空気と水と太陽から、一切公害を出さないで有機化合物を合成する機械、とも言うべき存在のようです。
食物の生産はもとより、幾多の有用な有機化合物を合成する機械として、植物を見直す必要があると考えています。
地球上の奇跡とも呼ぶべき土壌、超大量の微生物の塊(相互作用の大宇宙)の複雑な世界とは別に、植物単体の有機物合成機能の活用を考えてもいい時代になった、とも感じています。 「気相栽培」という、土や大量の水を必要としない栽培方法の開発に成功した我々は、植物本体の持つ有機化合物合成機能の解明を通して、公害の発生しない化学工場として植物を使用することで人類の進化に貢献していくつもりです。
GCJの理念
当社は約50年間、「植物を科学する」を合い言葉に植物研究を続けてきました。当初は、公害問題から派生した環境問題に関わり、「木を植える」ための苗木育成技術と「コンテナ栽培」が中心でした。「ツリーシェルター」は現在、我が国の森作り・林業にとってなくてはならない苗木保護材です。
「コンテナ栽培」技術は、用土の研究からついに「用土はいらない」技術へと昇華しました。
植物栽培技術におけるコペルニクス的展開技術です。2023年に「気相栽培法」として最初の特許が成立しています。今、私どもはこの「気相栽培法」を中心に第2の創業(株式会社GCJ)を迎えたところです。
植物に土はいらない
植物の歴史を見れば一目瞭然です。
石炭紀までの植物は腐朽することがなかった(出来なかった)ので土(土壌)というものは存在しません。土(土壌)が出来たのは真菌が進化し、リグニンを分解できるようになってからのことです。
落ち葉・枯れ枝・枯れ木など植物の残骸が腐朽することで、有機物が細かく粉砕され微生物の餌になりました。風化し粉砕された岩石と植物の残骸が水と空気を保持し、大量の微生物の住処となり土(土壌)が生まれたというわけです。
2億9千万年前頃だといわれています。
今日では1gの土壌に数億個の微生物がおり、それぞれが連鎖した化学反応の壮大な宇宙を形成している、と言われます。
それらを分析し、全容を明らかにするのは不可能とまで言う学者もいます。
植物は土壌から生まれたのではなく、植物の働きで土壌が出来たのです。植物は「動かない」という進化戦略を採ったので、遺伝子を保存し続けており、土壌に頼らない植物栽培は可能なのです。
「土(土壌)」を使わない栽培法
土(土壌・代替粒)を使わない栽培法として養液栽培があります。
養液の中に根を浸けて栽培する方法です。(土の代わりに養液を使う)
「地下部」が 根+養液、という考え方です。最大の欠点は、停滞した水(養液)には空間がなく、空気の流通もありませんので、空気(酸素)は水に溶存した分しか使えないということです。
従って、特殊な植物以外、生長し、収穫までという長い期間栽培することは不可能です。酸素を補うため、水(養液)に空気を常に補給するための装置を使う工夫がなされました。
それが水耕栽培(水を流すことで空気を補給)であり、一部の葉物野菜の栽培方法として実用化しています。
実験的には、水を頻繁に入れ替えたり、熱帯魚の水槽のようにエアポンプを使うこともあります。水(養液)を動かす栽培法は、水を動かさない栽培に比べ効率が悪い(成長が遅い)という報告があり、規模が大きくなると、病害虫対策・養液の消毒・廃液の処理など問題も抱えています。裸の根に養液を噴霧する噴霧栽培もありますが、液体の養液が根の表面に付き、それを根が吸収するという意味で広義の養液栽培と言えるかと思います。
主として、結球しない小型の葉物野菜を栽培する装置であり、全ての植物を栽培出来るわけではありません。
「植物の地下部」に関して
「土なし」の「地下部」を装置で再現する中で、「地下部」の環境が「根」に及ぼす影響が、はっきり見えるようになりました。
「茎」と「根」の境界は必ずしもはっきりとしていませんが、「地下部」即「養水分を吸水する」部分、だけではないことが分かりました。
物理的な働きである「土=支持体」との関係を別にすれば、理想的な「土(土壌)」とされる「団粒構造」に見られる「隙間=空間=空気層」が非常に重要だということです。
「根」は空気が吸えるのです。
そのための特殊な構造の「根」が有りました。
地上部の葉や茎にある気孔とは別に、空気を吸う「根」です。「気相根」と名付けました。
養水分を吸う「液相根」と区別するためです。細かい綿状に見える「気相根」は「地下部」の空間(空気層)に発達します。
もともと土(土壌)のあちこちにある空気のある小さな空間に少しずつ存在する「気相根」が、土なしの「地下部」の空間に発達するのです。
空気と水が交互に満たす小さな空間の多い「良い土(土壌)」の意味は、空気を吸う「気相根」の存在に負っているのです。開発した、人工の「地下部」を持つ装置は、根の一部を養液に浸す(液相根)とともに、大部分の根が空中にあることによって、「気相根」の発達を促す機能があります。「気相根」が発達した植物の「液相根」は、養液中の溶存酸素が欠乏しても枯れることはなく、生長にも悪い影響が出ないことも確認出来ました。
「植物根域気相栽培」法・・・「気相栽培」
「植物根域気相栽培」法・・・
「気相栽培」
私どもは50年にわたり、土を使わない栽培方法を研究してきました。
1997年には、土を使わないでセラミックの筒だけで植物を栽培する「セラミック栽培」を発明し、世界27カ国で特許を獲得しています。
特殊なセラミックパイプのみ(パイプの中は空)で、停滞水による(養液を動かさない)植物栽培を可能にし、野菜の栽培を実現しました。(「セラ・ファーム」として市販中)
その後も研究を続けようやく、食糧生産を含むほぼ全ての植物の栽培を可能にする栽培法とその装置を開発することに成功したのです。
一部の特許が成立し、海外特許の申請も一段落したので、その栽培法と考え方を公開します。空気(酸素)を養液に加える必要のない、言わば「植物根空中栽培システム」です。養液中の根より空中の根の割合が遙かに高い栽培法です。このシステムで、私たちはジャガイモの収穫に成功しています。
根菜類が空中で肥大し、大きくなった実から順次収穫するという、地上部での野菜収穫方法と同じシステムが根菜類で可能なことも実証しました。キャベツが結球し、大豆の実が入り、トウモロコシがなっており、ほぼ全ての植物の栽培が可能だと考えています。(実証栽培試験中)
「気相栽培」による植物栽培
「気相栽培」による植物栽培で、複雑な土壌系の働きを抜いた、植物本体の化学合成力を測定することが初めて可能になった、と言えます。
養分として与えられた成分が数値化・単純化され、直接的に合成された成分を測定することが出来るようになります。
根が分泌する成分も直接的に、継続的に回収することが可能になり、定性的だけでなく定量的な、正確な分析が可能です。
植物の持つ有機化合物合成力を科学的に分析し利用できる、技術の開発に大きく貢献することができる、と考えています。
もう一方、植物(食物)栽培方法として土地(耕地)が不要であることを利用すれば、耕地を奪い合う戦争をしないですむ、人類を養う方法の一つとして十分な可能性がある、とも考えます。
グリーン・ケミストリー
公害を引き起こさない化学工場としてグリーンケミストリーが唱えられています。
我々はもう一歩進めて、植物を利用した、グリーンケミストリーを目指します。